国立国会図書館デジタルコレクションの公開範囲変動(2017年12月)
「月刊NDLデジコレメタデータWatch」第43号。2018年になったが、今月も国立国会図書館デジタルコレクション(以下、NDLデジコレ)公開範囲の変動を追ってみた。
国立国会図書館デジタルコレクション書誌メタデータ 2017年12月の変動
NDLデジコレのメタデータについて、2017年12月1日から2017年12月31日までに変更のあったレコードは18,866件であった*1。
11月末時点のデータにおいては、「資料種別」*2が「図書」であるもののうち、「著作権に関する情報」*3に「インターネット公開」を含むものは353,833件であったが、12月31日までの更新を適用したデータにおいては353,860件となっており、27件増加している。
資料種別が「図書」であるものについて、資料数内訳は以下の通りであった。
著作権に関する情報 (dcterms:rights) | 11月末 | 12月末 | 差 |
---|---|---|---|
インターネット公開(許諾) | 10184 | 10184 | 0 |
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/02/09 | 19 | 19 | 0 |
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/02/09; 2015/11/10 | 3 | 3 | 0 |
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/11/10 | 37355 | 37354 | -1 |
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/11/10; 2017/02/06 | 19 | 19 | 0 |
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2017/02/06 | 32158 | 32158 | 0 |
インターネット公開(保護期間満了) | 274095 | 274123 | +28 |
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開 | 551463 | 551333 | -130 |
館内公開 | 86780 | 86885 | +105 |
(総計) | 992076 | 992078 | +2 |
(内、インターネット公開分合計) | 353833 | 353860 | +27 |
さらに「著作権に関する情報」変動の内訳を見てみる(表示スペースの都合により、「著作権に関する情報」の設定値を略記した)。
12月末 | 総計 | ||||
---|---|---|---|---|---|
保護期間満了 | 図書館送信 | 館内公開 | |||
11月末 | 裁定 2015/11/10 |
1*4 | 1 | ||
保護期間満了 | 104*5 | 104 | |||
図書館送信 | 129*6 | 7*7 | 136 | ||
館内公開 | 6*8 | 6 | |||
総計 | 130 | 6 | 111 | 247 |
この表は、例えば、11月末時点では図書館送信であった図書で、12月末にはインターネット公開(保護期間満了)に変更されているものが129件あると読んでほしい。
この表の他、11月末のメタデータには存在せず、12月に登録された図書が2件(保護期間満了)あった。この2件は、既公開資料の一部を分割して登録したものであった*9。
パブリックドメイン図書の増加
図書館送信からインターネット公開(保護期間満了)へと変更された図書には、著作者が1966年に没し、2017年からパブリックドメインとなったものが含まれている。(著作者が1967年に没し、2018年からパブリックドメインとなったものについては、2018年1月中に保護期間満了に変更されるものがあれば、来月の記事で取り上げることになるだろう。)
ここでは、図書館送信から保護期間満了に変更された図書(新たにインターネットで閲覧できるようになった資料)を中心として、いくつか著名な著作者のものについて取り上げる。
学者・宗教家など
古典籍資料の公開範囲変更
資料種別が「和古書」であるものについて、今月も公開範囲に変動があったか調べてみた。
著作権に関する情報 (dcterms:rights) | 11月末 | 12月末 | 差 |
---|---|---|---|
インターネット公開(許諾) | 8 | 8 | 0 |
インターネット公開(保護期間満了) | 72869 | 72869 | 0 |
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開 | 17032 | 17032 | 0 |
館内公開 | 3 | 3 | 0 |
(総計) | 89912 | 89912 | 0 |
(内、インターネット公開分合計) | 72877 | 72877 | 0 |
「著作権に関する情報」に変動は見られなかった。
今月の蔵書印
今月は、蔵書印ではないが、あまり目にしない印があったので取り上げてみる。図書館送信から保護期間満了に変更された『諸子概説』より「2000 DAE」の印。下方には「国立国会図書館 25.12.4」の受入印が見られる。
諸子概説(Source: 国立国会図書館デジタルコレクション)
昭和25年という時期を考えると「DAE」とは占領期の何かの機関名だろうか? それにしては「2000」という数字は何か。種を明かせば、おそらく、2000年(平成12年)にDAE法(乾式アンモニア・酸化エチレン法)による大量脱酸処理が施された資料であることを示す印なのではないだろうか。
「国立国会図書館で実施した大量脱酸処理の試行に関する委託調査結果について」によれば、平成10年度、11年度に和図書の複本4,315冊を対象として、DAE法を用いた酸性紙資料の大量脱酸処理が試行的に実施されており、この資料は複本である点や時期が合致している。今回は未確認だが、「国立国会図書館の大量脱酸の試行について」(『ネットワーク資料保存』第58号)を確認すれば、より詳しいことが分かるかもしれない。
2017年12月のNDLデジコレ追加資料
2017年12月には以下の資料が追加されている。
「資料種別」が設定されていない2件は、注記で「資料タイプ:手稿譜」「楽譜種類:スコア」とされている。
今後のデジタル化予定
2017年12月6日付けで国立国会図書館ウェブサイトの「デジタル化作業に伴う原資料の利用休止について」が更新され、以下の憲政資料がデジタル化作業対象に加わった。
利用を休止する資料(平成29年12月6日現在)
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitization/unavailable.htmlより抜粋
資料区分 デジタル化対象 対象冊数 利用休止期間(予定) 憲政資料 (10) 勝海舟関係文書2〜133 132件(673分冊[点]) 平成30年1月10日〜平成30年3月末日(予定)
2016年12月22日付けでデジタル化対象リストに挙げられた「勝海舟関係文書1」に続き、今回は「勝海舟関係文書2〜133」が対象となっている。具体的な内容は「勝海舟関係文書」や「国立国会図書館所蔵 勝海舟文書について : 付・勝海舟文書仮目録」などを参照のこと。
*1:国立国会図書館サーチが提供するOAI-PMHを利用した。
*2:dcndl:materialType
*3:dcterms:rights
*5:彙報、論叢等の集合著作物など。
*6:『応用電気化学実験』、『外務省発表集 昭和35年2月第10号および公表資料集第8号』、『逆境の勇者 : 長編叙事詩』、『国訳漢文大成 続 文学部』(第1冊、第2冊、第3冊、第4冊、第5冊、第6冊、第7冊、第8冊、第9冊、第10冊、第11冊、第12冊、第13冊、第14冊、第15冊、第16冊、第17冊、第18冊、第19冊、第20冊、第21の上冊、第21の下冊、第22の上冊、第22の下冊、第23の上冊、第23の下冊、第24の上冊、第24の下冊、第25冊、第26冊、第27冊、第28冊、第29冊、第30冊、第31冊、第32冊、第33冊、第34冊、第35冊、第36冊、第37冊、第38冊、第39冊、第40冊、第41冊、第42冊、第43冊、第44冊、第45冊、第46冊、第47冊、第48冊、第49冊、第50冊、第51冊、第52冊、第53冊、第54冊、第55冊、第56冊、第57冊、第58冊、第59冊、第60冊、第61冊、第62冊、第63冊、第64冊、第65の上冊、第65の下冊、第66の上冊、第66の下冊、第67の上冊、第68の上冊、第68の下冊、第69冊、第70冊、第71冊、第72冊、第73冊、第74冊、第75冊、第76冊、第77冊、第78冊、第79冊、第80冊、第81冊、第82冊、第83冊、第84冊、第85冊、第86冊、第87冊、第88冊)、『佐藤信淵』、『佐藤信淵鉱山学集』、『佐藤信淵先生の事蹟と其の大経綸』、『儒教の精神』、『儒教の精神』、『朱子・陽明』、『朱子・陽明』、『諸子概説』、『諸子概説』、『新輯漢文実業学校用教授備考』(巻2、巻4)、『水車』、『鈴木文台先生遺書 初輯』、『起て!闘へ!勝て!』、『手仕上』、『特旨贈従五位鈴木文台先生年譜略』、『都長は官選か公選か : 六百万市民に問ふ 都長は市民直接選挙』、『都長は官選か公選か : 六百万市民に問ふ』、『妊娠調節の医学的知識』、『乃木将軍及同夫人死体検案始末並に遺言条々』、『白楽天詩解 前編 新楽府』、『賦史大要』、『賦史大要』、『防空と救急法』、『明治四十三四年南滿州「ペスト」流行誌附録寫眞帖』、『孟子要略』、『老子原始』、『老子之研究』、『老子之研究』、『論語』、『論語』
*7:『朝晴れ鷹』、『階級及第三史観』、『カラマーゾフの世界』、『雁』、『暁鐘寮史 第2』、『これからの短歌の味ひ方作り方』、『豊田佐吉』
*8:『仇討悲願』、『カラマーゾフの世界』、『雁』、『暁鐘寮史』、『短歌の作り方味ひ方』、『豊田佐吉』
*9:『建築時代』(第23、第24)。どちらにも「電子化時の注記」に「2017/12/18 info:ndljp/pid/1241234から分割。」とある。『建築時代 第22』(info:ndljp/pid/1241234)の「電子化時の注記」には「2017/12/18 25コマ以降はinfo:ndljp/pid/11002882に、47コマ目以降はinfo:ndljp/pid/11002883に分割。」とある。
*10:既存公開資料の分割登録による追加。
*11:『永遠のみどり』、『新原爆小景あるいは平和の使徒たちの行列と死者たちの歌』
*12:2017年12月21日付け国立国会図書館ニュース